経営母体を意識してみる

就職する病院を選ぶときに、経営母体に注目したことはありますか?
仕事をするうえであまり関係ないようにみえて、実は結構大切なのが経営母体です。
どんな種類があるのか、どんな特徴があるのかを知っておきましょう。

経営母体の種類と特徴

病院を運営している経営母体には大学、自治体、赤十字社など、公的機関、医療法人、企業、個人などがあります。
そして、経営母体が変われば運営方針や給与体系、教育システムなど組織の雰囲気も変わるものです。
例えば、公的組織が運営している病院は歴史が長い医療機関が多いので、いわゆる『病院内ルール』というものがある病院も多く、独特の風土を持っています。
公的組織が運営していた病院で、民間の医療法人に経営移譲したところ「組織の雰囲気が変わってしまった」ともともといた職員がこぞって退職してしまったなんて話もあります。
もちろんその一方で新しく働き始める職員もいるわけですし、新しい風が吹くことについて良し悪しは語れません。
運営母体が変われば、それだけ変わってしまうということです。
  • 大学病院
大学は教育機関という色合いが強く、研究や症例発表などに力を入れています。
そのため、勉強会などが定期的に開催されており、最新の知識を得ることができます。
最先端の医療に触れることができる一方で、看護師のスキルは身に付きにくいと言われています。
点滴のルートキープなど、民間の病院では看護師が行っている技術でも、大学病院では医師が担当するものも多くあります。
  • 医療法人
医療法人は理事長の考え、その法人の理念が強く反映されるため、組織によって雰囲気は様々です。
災害派遣などを積極的に行っている病院や、地域との密接なふれあいを推進していればボランティア活動があったりする病院もあります。
病院のホームページなどに思想や理念について書かれている場合もありますので、確認しましょう。
  • 企業立病院
企業立病院は母体となる企業の運営手法を病院の運営にも取り入れていたりするため、経営効率などの面ではシビアな部分もあるでしょう。
しかし、「40才を過ぎても給料が上がる」「寮が充実している」「自社製品を安く買える」「休日が多い」といった特徴も持っています。
このため、看護師からも人気が高く、離職率も低い、まさに優良病院の代表格と言えます。
また、接遇やホスピタリティに力を入れている病院も多いのが特徴です。
  • 公的病院
公的病院の場合、以前はゆったりとした組織風土のところが多かったものの、最近では財団法人化政策などにより経営改善を強いられているところが増えています。
看護師にとって良い意味での「ゆるさ」がなくなってしまい、それが「息苦しい」と感じて退職してしまうケースが多いようです。
例えば、「休日・休暇の融通が効く」「子供のことで融通が効く」「休日は詰所会議に来なくてもよい」「残業はほぼない」などが代表的なものです。
民間企業に移譲し、新しい看護部長・師長がやってくると「経営を意識した運用」をスタートします。
長年やってきた体質と変わってしまうことで窮屈さを感じてしまう可能性があります。
また、民間の医療法人にしても、公的な法人にしても、広域に医療機関を持っている病院グループなのか、特定の地域に根差した法人なのかによって組織風土・教育、研修システムなども異なります。
多くの医療機関をもつ法人の場合、施設横断的な研修に参加することもできます。
また、希望によって違う病院に転勤することも可能です。
逆に、移動命令が出る可能性もありますので、転勤を強いられる可能性もあります(^^;)
転職を考えた時には、「運営母体はどんなところか?」というのもチェックしてみて下さい。

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