ゆとりある看護を求める転職

病棟看護の経験者は「もっと患者さんとじっくり向き合う看護がしたい」と誰もが一度は思うもの。でも、そんな病院をどうやって探したらいいのか、わからないですよね。
ゆとりのある看護を実現するための転職先の見つけ方を伝授します。

看護師をサポートしてくれるコメディカルがたくさん在籍しているか

看護師が担う仕事は本来の看護業務の他にも、意外とたくさんあります。
病院の体制によって、看護業務以外の業務の負担の割合は違います。
看護助手やクラークなどがたくさんいて、看護師の仕事をサポートしてくれるような体制があれば、看護師は看護業務に専念しやすいといえます。
介助や物品の搬送などを看護助手が担ってくれるぶん、患者さんとの時間ができ、ゆとりも生まれます。
また、カルテ整理やコスト管理などをクラークがしてくれれば、煩雑な書類業務が減る分、ベッドサイドで過ごせる時間も増えます。
助手やクラークがほとんどいない病院で勤めたことがありますが、入院してくる患者さんのベッドネーム書きから始まり、必要な書類の準備、検査結果書類の整理など看護師じゃなくてもよい業務が多かったです。
業務の最後は退院した患者さんのカルテ片付けで、これがまた時間がかかるんです・・・(^^;)
こんな風に毎日の日勤のはじまりと終わりは雑用に終始していました。
ちなみに深夜勤務ではその日取った検査やレントゲン・心電図の仕分け作業があり、これまた多いと30分以上かかりました。
クラークがいるといないではかなり差があると体感しました。
助手さんに関しても、毎日のモーニングケアやイブニングケア、おむつ交換やトイレまでの付き添いなどをしてもらえるだけでも、かなり時間にゆとりが生まれます。とくに、介助が多い病棟では助手さんがいない日は仕事が終わらないことも多々ありました。

急性期の病棟以外が狙い目、在院日数を目安に。

患者さんとじっくり向き合える「ゆとりある看護」をしたいと思っても、ゆとりというのは実際に働いてみないと分からなかったりします。
そこで、外から「ゆとり度」を推し量る目安としては病棟毎の「平均在院日数」が目安になります。
基本的には急性期病棟は平均在院日数は短く、慢性期は比較的長いでしょう。
つまり、ゆとりある看護を実践したいなら、急性期以外の病棟がお勧めといえます。
慢性期の病棟や療養型の施設であれば毎日のようにたくさんの入退院があり、患者がどんどん入れ替わることはないと思います。
緊急入院や急変といった突発的な業務に追われることも少ないですし、患者さんの入院が長期になりやすく、入退院を繰り返す患者さんが多いため患者さんと関わる期間も長くなります。また、だんだんとパーソナリティや家族背景なども分かるようになり患者さんへの理解が深まります。
慢性期病棟は業務がルーチン化されている部分が多いので慣れれば時間が短縮でき、その分患者さんのベッドサイドにいられる時間も増えます。
患者さんと1:1の人間的なお付き合いができ、家族も含めてじっくり話を聴くことが可能な訪問看護もおすすめです。
ただし、訪問看護ステーションに帰ってきてから記録を書いたり、色々な書類を準備するなどの事務的な仕事も多いです。
デスクワークが苦手な人には向かないかもしれません。
また、介護老人保健施設などは一見のんびりしていてゆとりのある看護を実践できそうですが、実際には日常生活の介助など、看護業務以外の業務もかなりあります。
ゆとりを求めて転職したものの実際は介護業務に追われ、理想と現実のキャップでやめる看護師が多いのも現実です。
視点を変えると、精神科病棟なども緊急入院や急変などが少ないので業務になれてくればゆとりが生まれます。最近は精神科病棟の入院患者に占める認知症の患者の割合が増えてきていますので、介護は多少あるかもしれません。

ゆとりは経験を積むことでも生まれるもの

もうひとつ、「ゆとり」は忙しい職場環境だけが原因ではなく、自分の経験や気持ちしだいでずいぶん違ってくるものです。
たとえば、慢性期で患者さんの状態としては落ち着いた病棟でも、入職したばかりの看護師は覚えることが多くて「いつも業務に追われて大変」と考えがちです。
どんな職場に転職しても、入職してすぐに「ゆとり」を感じることは難しいでしょう。
しかし、次第に業務に慣れてくると心に余裕が生まれてきます。
経験してきた診療科の看護では、慣れるまでにそれほど時間はかからないと思います。
つまり、これまで蓄積してきた知識や経験が生かせる職場であれば、多少忙しくてもゆとりのある看護は実現できるのです。

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