転職するなら7対1病院か、10対1病院か

転職を考えた際に、7対1病院か、10対1病院かということを気にして情報収集している人も、そうでない人もいるでしょう。
「7対1看護を算定している病院は、看護師がたくさんいるということだから、じっくりと患者さんと向き合って、ゆったり働くことができるのだろう。」
「10対1看護の病院は看護師が少ない分、一人ひとりにかかる負担が大きそう。」「10対1看護の病院では休みも取りにくいのでは・・・・・」
そんな話や不安・心配の声を聴くことがあります。
でも、実際は必ずしもそうとは言えません。
ギリギリの人数で「なんとか7対1を算定できている」病院のなかには、人数にゆとりがなく、休みも取りにくい病院もあります。
そもそも7対1ってどういうことなの?
という方に、簡単に説明しますね。

7対1看護とは、入院時の診療報酬を計算する際の看護配置区分のひとつ。入院患者7人に対し、看護師などの看護職員が1人配置されている体制のことであり、もっとも手厚い看護体制となる。
一般病棟では、看護配置や患者の平均在院日数などにより、入院時の診療報酬の基本点数となる入院基本料が決まる。看護配置には、「7対1」のほか、「10対1」「13対1」「15対1」の区分が設けられており、患者10人に対し看護職員を1人配置する10対1などと比べ、7対1のほうが看護体制が手厚くなっている。病院にとっては、7対1看護の施設として届け出ることで、入院基本料が高くなり多くの報酬が得られる。

私自身も7対1看護を算定している病院に勤めたことがありますが、病棟で出されるシフトは7対1看護を確保した人数を日勤者として出していますが、実際にはその病棟スタッフの中から毎日3名程度を外来補助に下ろしていました。
妊婦検診補助1名、産婦人科処置1名、妊婦の保健指導1名って感じです。
つまり、実際に病棟で業務をするのはぜんぜん7対1じゃなかったんです。
7対1看護の算定を取ることができる業務を実質10対1看護くらいでこなすことになるので、その結果、毎日残業が当たり前でしたし、ゆったりした雰囲気なんて全くありませんでした。
ちなみに外来に降りたスタッフも、外来が実際に終わるのが6時ごろでその後に翌日の患者カルテの整理などがあり、もちろん残業です。
病院としては7対1看護を取得して、その中から外来に下ろした方が外来スタッフの人数は少なく配置できるので、経営という点ではメリットがあったんだと思います。
ですが、働いているスタッフとしては辛かったですね。
7対1看護を算定していても、実際にスタッフがすべて病棟に配置されているのかどうかも確認するポイントだと感じました。
そもそも、7対1看護は本来、重症急性期の患者を看護するために設けられたものですので、7対1看護を取り入れている病院は急性期の病院が多いです。そのため、7対1であってもゆったりのんびりしているのかというと必ずしもそういうわけではありません。

仕事の負担に関しても、とりあえず看護師の資格を持っている人をかき集めて人数を保っているのか、しっかり経験を積んだベテランが多いのかといった、集まっている看護師の質で異なります。
7対1看護は看護師の人数の確保が必須になりますので、頭数を増やすために新卒の看護師でもとりあえずたくさん入職させておこうといった病院も見受けられます。
そういった病院に転職すれば、ゆとりある看護は望めませんし、看護の質としてもあなたが求めているレベルは難しいでしょう。
それでも、「7対1看護の病院の方が働きやすい」と一般的に言われがちですし、看護学校などでもそう教えられることが多いようです。
実際のところはそれぞれの病院の事情次第ですので、7対1看護か10対1看護かよりも、自分のやりたいことに合っている職場を見つけた方が転職は成功すると思います。
ただし、7対1入院基本料を算定することで経営的に有利になることは事実ですので、病院の経営状況は7対1病院の方がよいという傾向はあるかもしれません。

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